フランスの話だったと思います。1900年代の初めの方でしょうか。
あるサナトリウムに同じ条件の病棟が二つ立っていました。片方は日当たりが良くて、片方は日当たりが悪い。日当たりの良い方に入っている鬱の患者さんはどんどん良くなる。日当たりが悪い方はなかなか良くならない。それで、太陽の光がうつの治療に良いのではないかと考えられました。
だからといって、うつの患者さんを、無理やり外に連れ出してはいけません。病気を悪くしますし、回復が遅れてしまいます。うつの人は精神が疲れています。無理して活動させると、さらに疲れがひどくなります。
落ち込んでいる人を見ると、パーっと遊びに行けばよくなると、無理やり旅行に連れ出すご家族がいます。うつをさらに悪化させるだけです。うつの患者さんは家でそっと療養させてあげてください。
風邪をひいて寝込んでいる人に、外で運動すればよくなると、寒空に引っ張り出すのと同じ話です。さらにひどくして、悪くすると肺炎を起こします。
うつの人を見たら、暖かく支えてあげてください。家事をするのもおっくうになっています。できることはやってあげて、休んでいられるようにしてあげてください。回復してきたら自分からいろいろなことをし始めます。
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