やないづメンタルクリニック

音楽・絵画

音は耳で聴き取ります。耳(内耳の三半規管)は、連続した音を神経のシグナルに変えます。楽器による音色の違いがどのように知覚されているのかでしょうね。脳は、音の波長の違い、音色の違い、音の強弱、音と音の間隔の違い(リズム)などを知覚して、旋律やテンポ、さらに感情まで、認識します。楽しいとか、悲しいとか、うれしいとか、勇ましいとか、音楽で感じ取る。表現できる。音楽と情動は繋がりが深い。

絵も同じですね。色と形、線のボケや柔らかさなどを、全体で感じ取る。色に感情を感じるのは、ごく普通の人でも経験します。共感覚もそれほど異常な神経系の働きではないのでしょう。色に情緒を感じるのは、実はとても不思議です。ピカソやゴッホ、ムンク等の著名な画家が描いた絵には、独特の感情を感じます。あの絵を真似するのは無理に思えます。彼らには、そういう風に世界が見えていたのかもしれません。

色に関する視覚中枢は、側頭葉後部腹側皮質です。すぐ内側は、海馬外側の辺縁系皮質です。辺縁系は古い大脳皮質で、情動や攻撃性、本能的行動に関連しています。基本的に距離的に近い皮質は繋がりが強い。色と感情の繋がりは、視覚連合野と側頭葉腹側面の辺縁系との位置的近さに拠るのでしょう。

音に関する聴覚中枢は、側頭葉後部背側にあり、辺縁系の島皮質の入り口に位置しています。辺縁系の情動関連皮質へすぐに入力できる位置です。音楽と情動の関連を予想させる位置関係です。聴覚中枢のすぐ後ろに、Wernicke皮質と呼ばれる聴覚性言語野があります。聴覚皮質は言語に関する音の解析に重要なのでしょう。

ある程度以上重症のうつ病の方は、音楽を聴いても楽しいとか慰めになるとか感じることができません。奇麗な花を見ても、灰色の世界に感じます。治ってくると、次第に音楽や映像を楽しむことが出来るようになります。不思議ですね。


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